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鹿児島県・奄美大島

太古からの自然がそのまま残る、

森を中心とした自然豊かな島。

その山々から流れる空気は、

時の流れを穏やかに感じさせてくれる。

今回のオブジェのテーマは

“MOMENT”

島の広大な自然、水辺の無音の中、

ゆっくりと刻まれていく

１秒１秒をまとい、

その時が記憶されていく。

そんな行為を閉じ込めることが

基点となった。

素材は真鍮。

周りの空気をまとい、

日毎に変化をしていく

真鍮という素材に魅せられ、

島の高台にある西本氏の工房へ。

民家の庭に建てられた工房。

壁には工具や器材と共に

ポスターや写真。

天井にはサーフボードや

ナチュールワインの瓶が並ぶ。

人柄がつまった、

秘密基地のようなその空間で、

切断、切削、溶接、研磨と、

１つ１つの工程が

リズミカルに行われていく。

素材の特性に向き合い作り出される、

“金工”とはまた違った、

宝飾のような繊細な曲線と

構成の美しさ。

技術だけではない、

彼が本来もつ感覚というものが現れる。

１つ１つ削り出されていく。

正確に、心地よく。

彼の制作を眺めながら思う。

機能ではない、

そのもの自体と空間の関係。

静かに存在し、確実に時を記憶する。

ふと見た時に変化に気づく、

ただそれだけでよいのだと。